財務諸表(BS・PL・CF)から財務指標、原価計算、企業価値評価、資本政策、IFRSまで、財務・会計の頻出テーマを問題で確認できます。全200問を答え・解説つきで掲載しています。 各問の「答えと解説を見る」を開くと、正解と解説を確認できます。
Q1. 貸借対照表(BS)に計上されるのはどれか?
正解:棚卸資産
解説:棚卸資産はBS(資産)に計上されます。
BSは期末時点の財政状態を示し、資産・負債・純資産で構成されます。棚卸資産は流動資産に分類されます。
Q2. 損益計算書(PL)の『売上総利益』の計算式として正しいのは?
正解:売上高 − 売上原価
解説:売上総利益=売上高−売上原価。
売上総利益(粗利)は商品・製品の売上から直接的な原価(売上原価)を差し引いた利益で、収益力の基礎を表します。
Q3. キャッシュフロー計算書の区分に含まれないのはどれか?
正解:販売活動によるキャッシュフロー
解説:『販売活動』という区分はありません。
キャッシュフロー計算書は営業・投資・財務の3区分です。販売活動は営業活動に含まれます。
Q4. 減価償却費はどの財務諸表に費用として表れる?
正解:損益計算書
解説:減価償却費はPLの費用として計上されます。
減価償却は資産価値の配分で、PLでは費用、BSでは固定資産の帳簿価額減少(累計額)として反映します。
Q5. 営業利益の定義として最も適切なのは?
正解:売上総利益 − 販管費
解説:営業利益=売上総利益−販管費。
本業の収益力を示す利益段階で、営業外損益や特別損益を含みません。
Q6. 営業キャッシュフローがプラスで投資キャッシュフローがマイナスの会社の一般的な解釈は?
正解:本業好調で将来成長のため投資中
解説:本業で稼ぎ、将来の成長投資に資金を回している形。
営業CFプラスは稼ぐ力、投資CFマイナスは設備やR&D等への投資を示し、成長局面の一般的パターンです。
Q7. 間接法による営業CFの調整項目として増加がプラス調整になるのは?
正解:買入債務の増加
解説:買入債務(支払の繰延)は資金流出を抑えるため営業CFにプラス調整。
売上債権・棚卸資産の増加は運転資金の増加=資金拘束でマイナス調整になります。
Q8. 営業外収益に含まれる可能性が高いのはどれか?
正解:受取利息
解説:受取利息は営業外収益。
本業以外の金融収益などは営業外収益としてPLの営業利益の下に表示されます。
Q9. 販管費に含まれやすい項目はどれか?
正解:広告宣伝費
解説:広告宣伝費は販管費。
販管費には販売活動や管理活動に係る費用(人件費、広告、研究開発の一部等)が含まれます。
Q10. 発生主義会計の説明として適切なのはどれか?
正解:現金収支ではなく経済事象の発生に基づき認識
解説:発生主義は現金主義と対比。
収益・費用を現金受払の時点ではなく、権利義務の発生時点で認識します。
Q11. 貸倒引当金の会計上の区分として最も妥当なのはどれか?
正解:資産の評価性引当金
解説:評価性引当金として控除表示。
売上債権などの回収不能見込みに備える評価性引当金で、資産からの控除項目として表示します。
Q12. 自己資本に含まれるのはどれか?
正解:資本金
解説:資本金は純資産の主要項目。
自己資本(純資産)には資本金・資本剰余金・利益剰余金などが含まれます。
Q13. 有利子負債に該当するのはどれか?
正解:社債
解説:社債は利息を伴う負債。
借入金や社債など利息支払いを伴う負債を有利子負債と呼びます。
Q14. 利益剰余金の説明として最も近いのはどれか?
正解:累積の内部留保
解説:利益の内部留保。
過去の利益から配当等を差し引いた累積額で、自己資本の一部を構成します。
Q15. 売上総利益率(粗利率)の計算式はどれか?
正解:(売上高−売上原価)/売上高
解説:粗利率=粗利÷売上高。
商品・製品のマージンを見る基本指標で、価格政策や原価管理の効果を反映します。
Q16. 営業利益率の計算式として正しいのはどれか?
正解:営業利益/売上高
解説:営業利益率=本業の収益力。
本業収益力の強さを売上に対する割合で把握するための代表指標です。
Q17. 売上債権に含まれるのはどれか?
正解:受取手形
解説:受取手形は売上債権。
売掛金や受取手形など、販売に伴う代金回収権利を売上債権といいます。
Q18. 買掛金はどの区分に属するか?
正解:流動負債
解説:買掛金は流動負債。
仕入等に伴う短期の支払義務で、1年以内の決済が見込まれる負債です。
Q19. 現金同等物の例として妥当なのはどれか?
正解:取得後3か月以内償還の短期公社債
解説:3か月以内償還は現金同等物に含む。
短期間で容易に現金化できるリスクの低い短期投資は現金同等物として扱われます。
Q20. キャッシュフロー計算書で配当金の支払いは通常どの区分か?
正解:財務活動によるキャッシュフロー
解説:配当の支払いは財務CF。
資本の調達・返済・株主還元に関するキャッシュフローは財務区分に表示されます。
Q21. 売上高営業利益率を上げる直接的施策として最も妥当なのは?
正解:値上げやコスト削減
解説:価格政策とコスト管理が基本。
売上単価の引き上げや原価・販管費の削減が営業利益率改善に直結します。
Q22. 固定資産の減価償却方法に含まれないものは?
正解:超過法
解説:超過法という一般的方法はない。
主要な償却法は定額法・定率法・生産高比例法などです。
Q23. 未払費用の説明として最も近いものは?
正解:費用の見越計上で短期負債
解説:未払費用は見越負債。
発生したが未払いの費用を計上する負債で、流動負債に計上されます。
Q24. 売上割引の一般的な会計処理は?
正解:売上高からの控除
解説:売上控除項目として扱う。
割戻しや返品などと同様、売上高の純額表示に向けて控除するのが一般的です。
Q25. 短期借入金は通常どの区分か?
正解:流動負債
解説:1年以内に返済の負債。
短期借入金は流動負債として計上され、資金繰りに影響します。
Q26. 支払手形の決済はキャッシュフロー計算書のどの区分に現れるか?
正解:営業CF
解説:支払手形決済は営業CF。
仕入に伴う決済は通常営業活動に関連するキャッシュフローです。
Q27. 配当性向の計算式はどれか?
正解:配当金総額/当期純利益
解説:配当性向=配当/純利益。
利益のうちどれだけを株主へ配分したかの割合で、配当政策の指標です。
Q28. 営業外費用に含まれる代表例はどれか?
正解:支払利息
解説:支払利息は営業外費用。
金融費用は本業以外の項目として営業外に区分されます。
Q29. 棚卸資産評価損は通常どこに表示されるか?
正解:売上原価または特別損失
解説:在庫の評価減は原価や特損に計上。
会計基準や重要性で表示区分は異なるが、原価性の強い評価損は売上原価に含めることもあります。
Q30. のれん(Goodwill)がBSに計上される条件はどれか?
正解:M&A時に買収対価が被買収企業の純資産の時価を超えた場合
解説:のれんはM&Aで生じた超過収益力であり、自己創設のれんは計上できません。
のれん=買収対価-被買収会社の識別可能純資産の時価。M&A時のみ計上でき、自社努力で築いたブランド価値(自己創設のれん)は原則計上不可です。日本基準では最長20年で償却、IFRSでは償却せず毎年減損テストを行います。
Q31. 貸借対照表において「繰延税金資産」が計上される理由はどれか?
正解:会計上の費用が税務上より先に計上され、将来の税金支払いが減少する一時差異があるため
解説:税効果会計により、会計と税務の一時差異を繰延税金資産・負債として認識します。
会計上は費用計上されても税務上は損金不算入の場合(例:貸倒引当金の超過額)、将来の課税所得が減少して将来税金が節約されます。この「将来の節税効果」を繰延税金資産として資産計上するのが税効果会計です。回収可能性の判断が重要です。
Q32. 損益計算書において「特別損益」に分類されるものとして適切なものはどれか?
正解:固定資産の売却損益・災害損失などの臨時・非経常的な損益
解説:特別損益は臨時・非反復性の損益で、固定資産売却や災害損失が典型例です。
PLの利益段階:売上総利益→営業利益→経常利益(±営業外)→税引前当期純利益(±特別損益)→当期純利益。特別損益は固定資産売却益・売却損、関係会社株式評価損、火災・水害等の災害損失など、通常の事業活動では生じない臨時・非経常的な項目です。
Q33. 間接法によるキャッシュフロー計算書で「売上債権の増加」はどのように処理されるか?
正解:営業CFから減算(マイナス調整)
解説:売上債権増加は未回収売上であり、現金が入っていないため営業CFを減らします。
間接法では純利益から現金収支との差異を調整します。売上債権が増加した場合、PLでは売上計上済みでも現金未回収なので営業CFを減算します。逆に買掛金増加は現金未支出なので加算。運転資本の変化が重要な調整項目です。
Q34. 「包括利益」と「当期純利益」の違いはどれか?
正解:包括利益は当期純利益にその他の包括利益(為替換算差額・有価証券評価差額等)を加えたもの
解説:包括利益=当期純利益+OCI(その他の包括利益)で、PL外の価値変動も含みます。
OCI(Other Comprehensive Income)には、為替換算調整勘定・その他有価証券評価差額金・退職給付に係る調整額・ヘッジ損益等が含まれます。IFRSと日本基準(2010年改正)で包括利益計算書の開示が求められ、株主資本等変動計算書と合わせて純資産の全変動を把握します。
Q35. 「固定長期適合率」として正しい計算式はどれか?
正解:固定資産÷(固定負債+純資産)×100
解説:固定資産を安定した長期資金(固定負債+純資産)でどれだけ賄っているかを示します。
固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+純資産)×100。100%以下が望ましく、固定資産を長期・安定した資金源で賄えていることを示します。100%超の場合、流動負債で固定資産を賄っており財務的に不安定です。固定比率(固定資産÷純資産)より実態に即した指標とされます。
Q36. 「経営安全率(安全余裕率)」とはどのような指標か?
正解:実際の売上高が損益分岐点売上高をどれだけ上回っているかを示す比率
解説:売上高が損益分岐点をどれだけ超えているかを示す収益の安全マージンです。
経営安全率=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高×100。値が高いほど売上が落ちても赤字になりにくく、経営の安全性が高いことを示します。損益分岐点分析(CVP分析)と組み合わせて使われます。
Q37. 「棚卸資産の評価方法」として先入先出法(FIFO)を採用した場合の特徴はどれか?
正解:物価上昇期に売上原価が低く計上され、利益・棚卸資産残高が高くなる
解説:FIFOは古い(安い)在庫から費用化するため、インフレ期は利益が高く出やすいです。
先入先出法(FIFO):先に仕入れた商品から先に売れたとみなします。インフレ(物価上昇)期は古い安価な在庫が売上原価になるため売上原価が低く、利益が大きく見えます(残存在庫は高価格)。後入先出法(LIFO)はその逆。日本基準ではLIFO廃止、IFRSでもLIFO禁止です。
Q38. 「のれんの減損テスト(IFRSベース)」で使われる「回収可能価額」とはどれか?
正解:使用価値(将来CFの現在価値)と正味売却価額のうち高い方
解説:回収可能価額は使用継続と売却のどちらでより多く回収できるかの高い方です。
IFRSのIAS36「資産の減損」:回収可能価額=max(使用価値、正味売却価額)。帳簿価額>回収可能価額なら減損損失を認識します。のれんは毎年(兆候がなくても)減損テストが必要。使用価値は将来キャッシュフローの現在価値で算定します。
Q39. 「有形固定資産の除却」をした場合のPLへの影響はどれか?
正解:帳簿価額(未償却残高)が固定資産除却損として費用計上される
解説:除却時点の帳簿価額(取得原価-累計減価償却)が除却損として費用計上されます。
有形固定資産の除却:使用不能になった資産を帳簿から取り除きます。取得原価から累計減価償却費を差し引いた帳簿価額(未償却残高)が固定資産除却損(特別損失)として計上されます。売却の場合は売却価額と帳簿価額の差が固定資産売却損益になります。
Q40. 「企業結合」において「持分プーリング法」が廃止され「パーチェス法」のみとなった理由はどれか?
正解:持分プーリング法では取得の実態が財務諸表に反映されず、恣意的な利益操作に使われやすいため
解説:持分プーリング法は実態を反映せず利益操作に利用されやすいため廃止されました。
持分プーリング法では買収対価(プレミアム)が財務諸表に現れず、のれんも計上されません。これを悪用して見かけ上のEPS向上を図る企業が多発したため、IFRS・US-GAAPともにパーチェス法(取得法)のみに統一されました。日本基準も2008年企業結合基準改正で同様の扱いに。
Q41. 貸借対照表において「流動資産」に分類される項目として正しいものはどれか?
正解:受取手形
解説:受取手形は1年以内に回収される流動資産。
流動資産:1年以内に現金化が見込まれる資産(現金・預金、受取手形、売掛金、棚卸資産など)。建物・のれんは固定資産、長期貸付金は投資その他の資産に分類される。1年基準(ワンイヤールール)が分類の基本。
Q42. 損益計算書において「販売費及び一般管理費(販管費)」に含まれないものはどれか?
正解:売上原価
解説:売上原価はPLの上位に表示され販管費とは区別される。
損益計算書の構造:売上高-売上原価=売上総利益、次に販管費を差し引いて営業利益を算出する。広告費・人件費(本社)・役員報酬・管理部門の減価償却費は販管費。製造コストである売上原価とは明確に区分される。
Q43. キャッシュフロー計算書の間接法において、純利益からキャッシュフローを調整する項目として「加算」されるものはどれか?
正解:減価償却費
解説:減価償却費は現金支出を伴わないため加算して調整する。
間接法のCF計算書:純利益から出発し非資金損益項目と運転資本変動を調整する。減価償却費は費用計上されるが現金流出がない(非資金項目)ため加算。売掛金・在庫・前払費用の増加は資金使用(減算)。棚卸資産・売掛金の減少は加算となる。
Q44. のれん(Goodwill)の定義として正しいものはどれか?
正解:企業買収時の取得価格と被取得企業の純資産公正価値の差額
解説:のれん=買収対価から純資産公正価値を引いた超過部分。
のれん(Goodwill):M&A時に支払った対価が被買収企業の識別可能純資産の公正価値を超える部分。ブランド力・顧客基盤・技術力・人材など目に見えない超過価値を反映する。日本基準では20年以内で規則的に償却、IFRS・US GAAPでは非償却で毎期減損テストを実施。
Q45. 会計上の「引当金」を計上する要件(4要件)として正しい組み合わせはどれか?
正解:将来の特定費用・損失の原因が期末前に存在・発生可能性大・金額合理的見積もり可能
解説:引当金4要件:原因存在・発生可能性大・当期対応・金額見積もり可能。
引当金計上の4要件(企業会計原則注解18):①将来の費用・損失の原因となる事象が当期以前にある、②将来費用・損失の発生可能性が高い、③当期の費用・損失として処理するのが適当、④金額を合理的に見積もることができる。賞与引当金・退職給付引当金・貸倒引当金などが該当する。
Q1. ROE(自己資本利益率)の説明として正しいのは?
正解:株主資本に対する当期純利益の割合
解説:ROE=当期純利益/自己資本。
株主から預かった自己資本をどれだけ効率的に増やしたかを示す指標で、資本効率の代表指標です。
Q2. 流動比率(Current Ratio)の計算式は?
正解:流動資産/流動負債 × 100%
解説:流動比率=流動資産/流動負債。
短期的な支払い能力を見る安全性指標で、100%超が望ましいとされます(業種により適正値は異なる)。
Q3. PER(株価収益率)の一般的な計算式は?
正解:株価/1株当たり利益(EPS)
解説:PER=株価/EPS。
利益に対して株価が何倍かを示し、割安・割高の目安として用いられます(業種比較などに使う)。
Q4. PBR(株価純資産倍率)の説明として正しいのは?
正解:株価/1株当たり純資産
解説:PBR=株価/BPS。
1株当たり純資産に対して株価が何倍かを示し、解散価値との比較や資本効率の評価に使われます。
Q5. ROA(総資産利益率)を改善する典型的な打ち手はどれか?
正解:総資産回転率を上げる
解説:ROA=(利益率)×(総資産回転率)。
販売効率や在庫・債権管理を見直し回転を上げるか、利益率を改善することがROA向上に直結します。
Q6. CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)短縮に最も直結するのは?
正解:在庫回転日数の短縮
解説:在庫・売掛・買掛の回転日数を短縮するとCCCが縮みます。
CCC=在庫日数+売掛日数−買掛日数。運転資金効率の改善でキャッシュ化が早まります。
Q7. D/Eレシオ(負債資本倍率)の上昇が示す一般的な含意は?
正解:財務レバレッジ上昇
解説:負債依存が高まりレバレッジが上がります。
成長投資の効率化にもつながる一方、過大な負債は財務リスクの上昇を招きます。
Q8. 売上債権回転日数の短縮に直結する施策は?
正解:与信管理強化と回収サイト短縮
解説:回収サイトの短縮は売上債権の回転を早めます。
与信・督促体制の強化、ファクタリング活用などが代表的です。
Q9. ROICを最も正確に説明する組み合わせは?
正解:NOPAT/投下資本
解説:ROIC=税引後営業利益(NOPAT)÷投下資本。
事業に投じた資本に対するリターンを測る指標で、WACCとの比較で価値創造を評価します。
Q10. EV/EBITDA倍率の特徴として最も適切なのは?
正解:非現金費用の影響を軽減し事業価値を比較しやすい
解説:EBITDAは非現金費用を除き、資本構成の違いを打ち消しやすい指標です。
企業価値(EV)をキャッシュ創出力(EBITDA)で割ることで、債務・減価償却の差異をならして比較できます。
Q11. EBITDAの概念に最も近いのはどれか?
正解:営業利益に減価償却等の非現金費用を戻したもの
解説:EBITDAは非現金費用を戻す。
営業活動のキャッシュ創出力をみる近似指標で、減価償却などの非現金費用を加算します。
Q12. 当座比率(クイックレシオ)の計算式は?
正解:(流動資産−棚卸資産)/流動負債
解説:棚卸資産を除いた流動性。
短期支払能力を厳格に見るため、換金性の低い在庫を除外して計算します。
Q13. 運転資本(ワーキングキャピタル)の一般式はどれか?
正解:流動資産−流動負債
解説:運転資本=流動資産−流動負債。
日常の営業活動に必要な資金量の目安で、過大でも過小でも効率が悪化します。
Q14. 棚卸資産回転率の分母に一般に用いられるのは?
正解:平均棚卸資産残高
解説:平均残高で回転を把握。
回転率は期間平均残高を用いるのが一般的で、実態に即した効率性を示します。
Q15. 固定長期適合率の趣旨として最も近いのは?
正解:固定資産が長期資本で賄われているか
解説:固定資産を長期資本で保守的に賄う指標。
長期安定資金(自己資本+固定負債)で固定資産が賄われているほど安全性が高いとされます。
Q16. 平均在庫日数の近似式はどれか?
正解:365日/在庫回転率
解説:回転率から日数へ変換。
回転率の逆数に期間日数を掛けて平均滞留日数の目安を得ます。
Q17. 総資産回転率の計算式は?
正解:売上高/平均総資産
解説:売上高を資産でどれだけ回すか。
資産の効率性を測る代表指標で、業種によって適正水準が異なります。
Q18. DuPontシステムに含まれる指標の組み合わせは?
正解:利益率×回転率×レバレッジ
解説:ROEを3要素に分解。
ROE=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジで要因分析します。
Q19. サステナブル成長率(Sustainable Growth Rate)の近似式は?
正解:ROE×(1−配当性向)
解説:内部留保で成長可能な率。
追加株式発行なしで維持可能な成長率の近似として用いられます。
Q20. レバレッジ効果でROEが上がりやすい状況は?
正解:負債コストが事業収益率より低い
解説:負債が安ければ資本効率向上。
借入を活用し投下資本利益率が負債コストを上回ると、株主リターンが押し上げられます。
Q21. 在庫回転率の計算式として適切なのは?
正解:売上原価/平均棚卸資産
解説:在庫効率は原価ベースで把握。
売上原価を用いるのが一般的で、在庫の滞留や欠品リスクの管理に用います。
Q22. 買掛金回転日数を短縮する施策は?
正解:支払サイト延長
解説:買掛は延長で日数が伸びる。
問題は『短縮』の逆概念として誤答を誘う典型。正しくは延長で日数は伸び、短縮には逆の施策が必要。
Q23. 「ROE(自己資本利益率)」をデュポン分解したとき、3つの要素の組み合わせとして正しいものはどれか?
正解:純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ
解説:ROE=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ(総資産÷自己資本)のデュポン式です。
デュポン分析:ROE=(純利益÷売上高)×(売上高÷総資産)×(総資産÷自己資本)。①収益性(純利益率)②資産効率(総資産回転率)③財務レバレッジの3要素に分解し、ROE改善のボトルネックを特定できます。財務レバレッジを上げればROEは高まりますが、財務リスクも増します。
Q24. 「当座比率」が「流動比率」より厳しい指標とされる理由はどれか?
正解:分子から棚卸資産を除き、より即時換金性の高い資産のみで短期支払能力を測るため
解説:当座比率は棚卸資産を除いた当座資産(現金・売上債権等)のみで流動負債を評価します。
流動比率=流動資産÷流動負債×100。当座比率=(流動資産-棚卸資産)÷流動負債×100。棚卸資産は売却に時間がかかり換金性が低いため除外します。当座比率100%以上が健全の目安。卸売・製造業では棚卸資産が多く流動比率との差が大きくなります。
Q25. 「インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)」の意味として正しいものはどれか?
正解:営業利益(またはEBIT)が支払利息の何倍あるかを示す、有利子負債の返済余力の指標
解説:ICR=EBIT÷支払利息で、1倍割れは利息も払えない危険信号です。
インタレスト・カバレッジ・レシオ=EBIT(利払前税引前利益)÷支払利息。例:ICR=3倍なら営業利益が支払利息の3倍あり余裕がある状態。1倍を下回ると本業だけでは利息が払えません。格付機関や銀行が融資判断に使う重要な財務指標です。
Q26. 「売上高営業利益率」が業種によって大きく異なる理由として適切なものはどれか?
正解:事業の固定費比率・付加価値構造・競争環境が業種ごとに異なるため
解説:固定費の重さや付加価値の高さが業種によって異なり、利益率に大きな差が生じます。
例:ソフトウェア(高固定費・高付加価値→高利益率)、小売業(薄利多売→低利益率)、製薬(研究開発費重い→変動的)。同じ「売上高営業利益率」でも業種の特性で適正水準が異なるため、業種内比較が基本です。ROE・ROAも同様に業種比較が重要です。
Q27. 「棚卸資産回転率」が低下傾向にある場合、考えられる問題として最も適切なものはどれか?
正解:在庫の滞留(過剰在庫・不良在庫)が増加しており、販売力や需要予測に課題がある
解説:回転率低下は在庫が売れずに積み上がっていることを示します。
棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産(または売上原価÷平均棚卸資産)。低下は在庫回転が遅く売れ残りが増えていることを意味します。陳腐化リスク・保管コスト増・資金効率低下につながります。逆に高すぎると欠品リスクが生じます。
Q28. 「EV/EBITDA倍率」が企業価値評価で広く使われる理由はどれか?
正解:減価償却費・支払利息・税率などの違いを除いた事業価値を比較でき、国際間・異業種比較に適しているため
解説:EBITDA は減価償却・金利・税金を除いた指標で、資本構造や会計方針の違いを超えた比較が可能です。
EV(企業価値)=時価総額+純有利子負債。EBITDA=営業利益+減価償却費。EV/EBITDAは①減価償却費の違い(設備集約度差)②資本構造差(借入比率)③税率差を除いた事業キャッシュ創出力で比較できます。M&Aの買収価格の妥当性評価に特によく使われます。
Q29. 「自己資本比率」が低い企業のリスクとして最も適切なものはどれか?
正解:業績悪化時に負債返済ができず倒産リスクが高まる
解説:負債依存度が高いと業績悪化時の返済不能リスクと財務的苦境コストが高まります。
自己資本比率=自己資本÷総資本×100。低い(負債依存度が高い)と:①利払い負担が重く業績変動で損益が悪化しやすい②格下げリスク③信用収縮時に資金調達困難④財務的苦境コスト(弁護士費用・取引先の離反等)が発生します。業種標準との比較が重要です。
Q30. 「売上債権回転日数」が長期化している場合の問題点はどれか?
正解:資金回収が遅れ、運転資金が増加して資金繰りが悪化する
解説:回収日数が延びると資金が売掛金に滞留し、運転資金需要が増加します。
売上債権回転日数=売上債権÷(売上高÷365)。この数値が長いほど販売後の資金回収に時間がかかり、キャッシュフローが圧迫されます。また長期化は取引先の信用リスク上昇のサインである場合もあります。逆に短縮すると運転資金が解放されます。
Q31. 「ROA(総資産利益率)」とROEの関係として正しいものはどれか?
正解:ROE=ROA×財務レバレッジ(総資産÷自己資本)で、負債活用でROEはROAを上回る
解説:財務レバレッジで資産を増やして利益を上げるほど、ROEはROAを上回ります。
ROA=純利益÷総資産。ROE=純利益÷自己資本。ROE=ROA×(総資産÷自己資本)=ROA×財務レバレッジ。借入金(負債)で総資産を増やしてROAを超えるリターンを得ればROEが高まります(財務レバレッジ効果)。ただし過剰な負債はリスクも高めます。
Q32. 「フリーキャッシュフロー(FCF)」の計算式として最も適切なものはどれか?
正解:営業キャッシュフロー-投資キャッシュフロー(設備投資等)
解説:FCFは事業運営後に残る自由に使えるキャッシュで、企業価値評価の基礎となります。
FCF(Free Cash Flow)=営業CF-設備投資(CAPEX)。企業が事業維持・成長のための投資後に、債権者・株主に自由に分配できるキャッシュを示します。DCF法では将来FCFを現在価値に割り引いて企業価値を算定します。安定的なFCF創出力が企業の財務健全性の本質とされます。
Q33. 「損益分岐点(BEP)」の計算で使う「貢献利益率」とはどれか?
正解:売上高に占める貢献利益(売上高-変動費)の割合
解説:貢献利益率=(売上高-変動費)÷売上高で、固定費回収に貢献する比率です。
貢献利益(限界利益)=売上高-変動費。貢献利益率=貢献利益÷売上高。BEP=固定費÷貢献利益率。例:固定費1,000万円、貢献利益率40%ならBEP=2,500万円。売上がBEP以上なら黒字。貢献利益率が高いほど、損益分岐点が低く収益構造が強固です。
Q34. 「サステナブル成長率(持続可能成長率)」とはどのような概念か?
正解:外部資金調達なしに内部留保だけで維持できる成長率(ROE×内部留保率)
解説:サステナブル成長率=ROE×(1-配当性向)で、自己資本の再投資で賄える成長限界を示します。
サステナブル成長率(g)=ROE×b(b=内部留保率=1-配当性向)。例:ROE15%・配当性向40%なら g=15%×60%=9%。この率を超えて成長しようとすると増資・借入が必要になります。株主への還元と成長投資のバランスを評価する財務指標として使われます。
Q35. 「資本回転率」が低い業種の特徴として最も適切なものはどれか?
正解:設備集約型(重厚長大)産業で大規模な固定資産が必要
解説:製鉄・電力・航空等の設備集約型は大規模固定資産に対し売上が相対的に少なく回転率が低いです。
資本(総資産)回転率=売上高÷総資産。低い業種:製鉄・電力・鉄道・不動産(大規模設備)。高い業種:コンビニ・卸売(在庫回転速い)。ROA=純利益率×資本回転率のため、設備集約型は回転率が低い分、利益率を高くする必要があります(収益性と効率性のトレードオフ)。
Q36. インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)の計算式はどれか?
正解:営業利益(またはEBIT) ÷ 支払利息
解説:ICR=営業利益÷支払利息。利息支払い能力を示す。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR):営業利益(EBIT)÷ 支払利息。1倍を下回ると営業利益で利息すら払えない危機的状態。一般に3〜5倍以上が健全とされる。信用格付け機関や銀行融資審査で重視される指標。
Q37. デュポン分析(DuPont Analysis)でROEを分解した3要素として正しいものはどれか?
正解:純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
解説:ROE=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ(デュポン式)。
デュポン分析:ROE = (純利益/売上高) × (売上高/総資産) × (総資産/自己資本) = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ。これによりROEの変動が「収益性・効率性・レバレッジ」のどの要因によるかを特定できる。
Q38. 棚卸資産回転日数(Days Inventory Outstanding)が長くなると企業に生じる問題はどれか?
正解:在庫に資金が滞留し運転資金の効率が悪化する
解説:在庫回転日数が長い=在庫に現金が寝ている状態。
棚卸資産回転日数 = 平均棚卸資産 ÷ 売上原価 × 365日。日数が長いほど販売されずに在庫として滞留する期間が長く、運転資本(WC)が増加し資金効率が悪化する。過剰在庫は陳腐化リスクや保管コストも伴う。
Q39. 自己資本比率が高い企業の一般的な特徴として正しいものはどれか?
正解:財務健全性が高く倒産リスクが低い傾向にある
解説:自己資本比率が高いほど財務的安定性・安全性が高い。
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100。高いほど外部からの借入に依存せず財務が安定しており、倒産リスクが低い。ただしレバレッジを使わないためROEは低くなりやすい。一般に40%以上が優良とされるが業種により異なる。
Q40. 売上高対比でEBITDA率(EBITDAマージン)を使う利点はどれか?
正解:減価償却・税・利息の影響を除いた事業の稼ぎ力を国際比較しやすい
解説:EBITDAは会計基準・資本構成の差を超えた収益力比較に有効。
EBITDAマージン = EBITDA ÷ 売上高。減価償却費(資産計上ルールの差異)・支払利息(資本構成の差)・法人税(税制の差)を除くため、異なる国・会計基準・資本構成の企業間で収益力を比較しやすい。M&A・バリュエーションで広く使われる。
Q1. 棚卸資産評価で価格上昇局面に一般に利益を押し下げやすい方法は?
正解:後入先出法(LIFO)
解説:LIFOは最近の高い仕入価格を原価に反映しやすく、利益を抑える傾向。
価格上昇時にLIFOは原価が高くなりやすく、利益が低くなります(IFRSではLIFO不可)。
Q2. 損益分岐点売上高に最も直接関係するのはどれか?
正解:固定費と変動費率
解説:CVP分析では固定費と変動費率が損益分岐点を決めます。
損益分岐点売上高=固定費/限界利益率(1−変動費率)。固定費が高いほど、変動費率が高いほど分岐点は上がります。
Q3. 標準原価計算で『価格差異』の主因は?
正解:実際価格と標準価格の差
解説:価格差異は実際単価と標準単価の差で発生します。
数量差異は実際数量と標準数量の差、能率差異は生産性の差など、要因を分解して分析します。
Q4. CVP分析の『限界利益』は次のどれ?
正解:売上高 − 変動費
解説:限界利益=売上高−変動費。
限界利益は固定費の回収と利益創出の源泉で、損益分岐点の計算に用いられます。
Q5. CVP分析の基本概念でないものはどれか?
正解:償却超過額
解説:償却超過額はCVPの主要概念外。
CVPは売上・変動費・固定費・利益の関係を分析する枠組みです。
Q6. 原価計算の区分で『製造間接費』に含まれる可能性が高いのは?
正解:工場の光熱費
解説:工場光熱費は間接費。
製造間接費は個別製品に直接ひもづけ難い工場共通費用を指します。
Q7. 「標準原価計算」における「差異分析」の目的はどれか?
正解:あらかじめ設定した標準コストと実際コストの差異を把握し、原価管理・業績評価に活用する
解説:標準コストとの差異(価格差異・数量差異等)を分析して原因を特定し改善します。
標準原価計算では製品1単位の標準直接材料費・直接労務費・製造間接費を事前設定し、実際原価との差異を分析します。差異の種類:価格差異(材料単価変動)・数量差異(使用量変動)・能率差異・操業度差異など。差異の原因特定が製造現場の改善に直結します。
Q8. 「直接原価計算(変動原価計算)」と「全部原価計算」の違いはどれか?
正解:直接原価計算は固定製造間接費を製品原価に含めず期間費用とする、全部原価計算は固定費も製品原価に算入
解説:固定製造間接費を在庫として繰り越すか期間費用にするかが両者の決定的な違いです。
Q9. 「活動基準原価計算(ABC)」が従来の原価計算と異なる点はどれか?
正解:製品・サービスが消費する「活動」を特定し、活動コストを原価ドライバーで製品に配賦する
解説:活動(Activity)を媒介にして間接費を正確に製品・顧客に割り当てるのがABCです。
Q10. 「総合原価計算」が適している生産形態はどれか?
正解:同一製品を大量連続生産する生産形態
解説:大量同一品の連続生産に総合原価計算、個別受注品に個別原価計算が適します。
Q11. 「機会原価(オポチュニティ・コスト)」の説明として正しいものはどれか?
正解:ある選択をしたことで諦めた次善の代替案から得られたはずの便益
解説:機会原価は会計帳簿には現れない「やらなかったことで失った価値」です。
Q12. 原価計算の目的として会計基準が定める3つの目的はどれか?
正解:財務諸表作成・価格計算・経営管理
解説:原価計算基準:財表・価格・経営管理が3目的。
日本の「原価計算基準」が定める原価計算の3目的:①財務諸表(貸借対照表・損益計算書)のための棚卸資産評価と売上原価算定、②価格計算(見積原価の基礎)、③経営管理(コスト管理・予算統制)。
Q13. 直接原価計算(変動原価計算)において固定製造間接費はどのように処理されるか?
正解:発生した期間の費用として全額損益計算書に計上される
解説:直接原価計算では固定費を期間費用として扱う。
直接原価計算(Variable Costing):固定製造間接費を製品原価に含めず、発生した期間の期間費用として全額損益計算書に計上する。これにより限界利益(売上高-変動費)を明示でき、CVP分析や短期意思決定に有用。
Q14. 全部原価計算(吸収原価計算)と直接原価計算で営業利益が異なる主な理由はどれか?
正解:在庫量の変化による固定費の繰延・取崩しの差異
解説:固定費が在庫に含まれるか期間費用かで利益が変わる。
全部原価計算では固定製造間接費を製品原価に含め、在庫として繰り越す。生産量>販売量のとき在庫が増え固定費の一部が繰延べられ、全部原価計算の利益が高くなる。逆に在庫減少時は直接原価計算の利益が高くなる。
Q15. 製造間接費の配賦基準として機械装置が多い自動化工場に最も適切なものはどれか?
正解:機械時間(Machine Hour)
解説:自動化工場では機械稼働時間が原価発生と最も相関する。
製造間接費の配賦基準は原価発生との因果関係(コストドライバー)に基づいて選ぶ。機械化が進んだ工場では間接費の多くが機械関連コストのため、機械時間(Machine Hour)が最も合理的な配賦基準となる。
Q16. 損益分岐点比率(BEP比率)が80%であることが意味することはどれか?
正解:現在の売上高が損益分岐点の125%の水準にある
解説:BEP比率80%=実際売上は損益分岐点の1.25倍の余裕。
損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 実際売上高 × 100。80%なら損益分岐点は実際売上の80%の水準にある(安全余裕率20%)。つまり実際売上が損益分岐点の100/80=1.25倍(125%)あることを示し、余裕が大きいほど収益安全性が高い。
Q17. 活動基準原価計算(ABC)が従来の原価計算より優れているとされる点はどれか?
正解:製品・サービスごとに実際の活動消費量に基づいた正確なコストを把握できる
解説:ABCは活動(Activity)ベースで間接費を正確に追跡する。
ABC(Activity-Based Costing):間接費を「活動」(受注処理・品質検査など)ごとに集計し、各製品・サービスの活動消費量(コストドライバー)で配賦する。これにより従来の数量ベース配賦では見えなかった製品別・顧客別の真のコストが把握でき、価格戦略や改善活動に活用できる。
Q18. 標準原価計算における「差異分析」のうち、材料費差異をさらに分解した2つの差異はどれか?
正解:価格差異と数量差異
解説:材料費差異=価格差異(単価のずれ)+数量差異(使用量のずれ)。
標準原価計算の差異分析:材料費差異 = (標準材料費-実際材料費)。これを①価格差異(実際数量×(標準単価-実際単価))と②数量差異(標準単価×(標準数量-実際数量))に分解する。それぞれ購買部門と製造部門の管理責任に対応する。
Q19. 埋没原価(サンクコスト)の概念として正しいものはどれか?
正解:過去に発生した回収不能なコストで意思決定に考慮すべきでない
解説:サンクコストは回収不能で将来の意思決定に無関係。
埋没原価(Sunk Cost):既に支出済みで将来の意思決定によっても回収不可能なコスト。合理的な意思決定では過去のコストは無視し、将来の差額コスト(差額原価)のみを考慮すべきである。「もったいない」感情でサンクコストを意思決定に持ち込むことをサンクコストの誤謬という。
Q20. 機会原価(オポチュニティコスト)とはどのような概念か?
正解:ある選択をすることで放棄した代替案から得られたであろう最大の利益
解説:機会原価=選ばなかった最良の選択肢の便益。
機会原価(Opportunity Cost):ある選択をしたことで諦めた他の最善の選択肢から得られたはずの利益。帳簿には現れないコストだが、意思決定上は明示的コストと同様に重要。例:遊休設備を自社利用する場合、その設備の外部貸出収入が機会原価。
Q21. 目標原価(ターゲットコスト)計算の出発点はどれか?
正解:市場価格から目標利益を引いて許容原価を算出する
解説:ターゲットコスト=市場価格-目標利益。市場起点で原価を設計。
目標原価計算(Target Costing):まず市場で競争できる目標価格を設定し、そこから目標利益を差し引いた「許容原価」を算出する(マーケットイン思考)。設計・開発段階でこの原価内に収めるよう取り組む。日本の製造業が発展させた手法。
Q1. CAPMにおける株主資本コストの計算式は?
正解:Rf + β×(Rm − Rf)
解説:株主資本コスト=無リスク利子率+β×市場リスクプレミアム。
期待リターンを見積もる標準モデル。WACC算定や投資評価の割引率に用いられます。
Q2. WACC(加重平均資本コスト)で、負債コストに対して考慮するのは?
正解:税引後の負債コスト
解説:負債コストは税効果(タックスシールド)を考慮し税引後で評価します。
WACC=E/(D+E)×Re+D/(D+E)×Rd×(1−T)。負債は利息が損金算入され節税効果があります。
Q3. NPVの説明として適切なのはどれか?
正解:割引いた将来CFの現在価値合計から初期投資を引いた値
解説:NPV=割引現在価値合計−初期投資。
NPV>0なら価値創造と判断し採択が望ましい。割引率にはWACC等を用います。
Q4. IRR(内部収益率)について正しいのは?
正解:NPVを0にする割引率
解説:IRRはNPVが0になる割引率。
IRRが資本コスト(ハードルレート)を上回れば投資採択の目安になります。
Q5. フリーキャッシュフロー(FCF)の近似式は?
正解:営業CF − 投資CF
解説:FCFは営業CFから投資CFを控除。
厳密には税引後営業利益ベースから運転資本とCAPEXを調整する方法もあります。
Q6. DCF法で用いる割引率として妥当なのは?
正解:WACC
解説:資本構成を考慮したWACC。
企業価値の割引では負債と株主資本のコストを資本構成比で加重したWACCを用いるのが一般的です。
Q7. ベータ(β)の解釈として正しいのは?
正解:市場感応度を示す係数
解説:市場全体に対する価格変動感応度。
βが1より大きいと市場より変動が大きく、1未満だと小さいと解釈されます。
Q8. 税引後負債コストの算定で考慮するのは?
正解:利息の損金算入による節税効果
解説:負債コストは税引後に調整。
利息費用が損金算入されるため、実効税率を考慮して負債コストを低下させます。
Q9. 最適資本構成の議論で代表的な考え方は?
正解:トレードオフ理論
解説:節税メリットと破綻コストの均衡。
負債の節税効果と財務リスク上昇による期待破綻コストのトレードオフで最適点を考えます。
Q10. EVA(経済的付加価値)の近似式は?
正解:NOPAT −(投下資本×WACC)
解説:資本コスト控除後の利益。
投下資本に対する期待収益率(WACC)を差し引き、真の価値創造を捉える指標です。
Q11. APV(調整現在価値)法の特徴として正しいのは?
正解:無借金価値と税盾効果を個別に評価
解説:無借金価値に税盾等を加算。
資本構成の影響を個別に評価するため、レバレッジ効果の分析に向きます。
Q12. 実物オプション(リアルオプション)の代表的な価値は?
正解:投資の柔軟性が価値を生む
解説:待つ・拡張・中止などの柔軟性。
不確実性の下で意思決定の柔軟性(延期、拡張、中止等)が追加価値を生みます。
Q13. CAPM(資本資産価格モデル)において「ベータ(β)」が示すものはどれか?
正解:個別株式の市場全体に対する価格変動の感応度(市場リスクの大きさ)
解説:β=1は市場と同じ動き、β>1は市場より大きく変動する高リスク株です。
CAPM:期待リターン=無リスク利率+β×(市場リターン-無リスク利率)。β=1なら市場平均と同じリスク、β>1なら市場が10%上がると株価は10%超上がるハイボラティリティ株、β<1は安定株。β×(市場リターン-無リスク利率)が「リスクプレミアム」です。
Q14. WACC(加重平均資本コスト)の計算で使う「負債コスト」として正しいものはどれか?
正解:支払利息率×(1-法人税率)で算出する税引後の実効負債コスト
解説:利息は損金算入(節税効果)があるため、負債コストは税引後(利率×(1-税率))で計算します。
WACC=(E÷V)×Re+(D÷V)×Rd×(1-T)。E=時価総額、D=有利子負債、V=E+D、Re=株主資本コスト(CAPM等)、Rd=負債コスト(借入利率)、T=法人税率。利子の節税効果を反映するため(1-T)を掛けます。WACCを上回るIRRのプロジェクトが価値を創出します。
Q15. NPV(正味現在価値)法において、プロジェクトを採択する条件はどれか?
正解:NPV>0(将来CF現在価値の合計が初期投資を上回る)
解説:NPV>0は投資がWACCを上回るリターンを生み、企業価値を増加させることを示します。
NPV=Σ(将来CF÷(1+割引率)^t)-初期投資。NPV>0なら投資により資本コスト以上のリターンが得られ、企業価値(株主価値)が増加します。NPV法はIRR法と並んで最も重要な投資評価手法です。IRR法の問題点(複数解・再投資収益率の仮定)を回避できる点でNPVが優れるとされます。
Q16. DCF法のターミナルバリュー(継続価値)の算定でよく使われる「ゴードン成長モデル」の式はどれか?
正解:最終年度FCF×(1+永続成長率)÷(WACC-永続成長率)
解説:ゴードン成長モデルはFCFが一定率で永続する仮定でターミナルバリューを算定します。
DCF法では予測期間(5〜10年)のFCFを現在価値に割り引き、それ以降を「ターミナルバリュー(TV)」で代替します。TV=FCFn×(1+g)÷(WACC-g)(g=永続成長率)。TVが企業価値全体の50〜80%を占めることも多く、成長率・WACCの仮定が結果を大きく左右します。
Q17. IRR(内部収益率)法の問題点として挙げられるものはどれか?
正解:キャッシュフローの符号が複数回変わる場合に複数のIRRが存在し、判断が困難になること
解説:非通常型CF(符号変化複数回)では数学的に複数のIRRが存在し、一意の判断ができません。
Q18. 「EVA(経済的付加価値)」とはどのような概念か?
正解:税引後営業利益から資本コスト(投下資本×WACC)を差し引いた経済的利益
解説:EVAは会計利益でなく、資本コストを上回る経済的利益を測定します。
EVA(Economic Value Added)=NOPAT(税引後営業利益)-(投下資本×WACC)。会計利益がプラスでもWACCを下回るリターンではEVAはマイナスで、経済的には価値を破壊しています。スターン・スチュワート社が開発し、業績評価・経営者報酬・投資判断に活用されます。
Q19. 「マーケット・アプローチ(類似会社比較法)」による企業価値評価の特徴はどれか?
正解:上場類似企業の株価倍率(PERやEV/EBITDA等)を使って非上場企業の価値を算定する
解説:類似上場企業のマルチプルを使い、対象企業に適用して価値を推定します。
Q20. 「割引率(ディスカウント・レート)」が高くなるとDCFによる企業価値評価はどうなるか?
正解:将来CFの現在価値が小さくなり、企業価値評価額が低下する
解説:割引率上昇→現在価値係数低下→将来CFの現在価値が小さくなります。
DCFでの現在価値=CF÷(1+r)^t。rが大きいほど分母が大きくなり現在価値は小さくなります。金利上昇局面ではWACCが上がりDCFバリュエーションが下がる傾向があります。特に遠い将来のCFほど割引効果が大きく、高成長スタートアップの評価が金利上昇で大きく下がる理由です。
Q21. DCF法(Discounted Cash Flow)で企業価値を計算する際に使用する割引率はどれか?
正解:WACC(加重平均資本コスト)
解説:FCFをWACCで割り引いて事業価値を求める。
DCF法では将来のフリーキャッシュフロー(FCF)を適切な割引率で現在価値に換算する。この割引率には企業全体の資本コスト(負債コストと株主資本コストの加重平均)であるWACCを使用する。株主価値のみの場合は株主資本コストを使う。
Q22. ターミナルバリュー(継続価値)の計算において、ゴードン成長モデルを使う場合の算式はどれか?
正解:FCFn+1 ÷ (WACC − g)
解説:TV = FCF(n+1) ÷ (WACC − g)。永久成長率gが前提。
ゴードン成長モデルによるターミナルバリュー(TV):予測期間最終年のFCFが一定成長率gで永続的に成長すると仮定する。TV = FCFn+1 ÷ (WACC − g)。WACCはgより大きくなければならない(g < WACC)。DCF法の企業価値の大部分をTVが占めることが多く、感度分析が重要。
Q23. マルチプル法(EV/EBITDA)において、EV(企業価値)はどのように計算されるか?
正解:時価総額 + 有利子負債 − 現金・現金同等物
解説:EV=時価総額+有利子負債-現預金(事業価値の総合指標)。
EV(Enterprise Value):企業全体(負債・株式の両保有者視点)の価値。計算式:EV = 時価総額 + 有利子負債 − 現金・現金同等物。EVをEBITDA(利息・税金・償却前利益)で割ったEV/EBITDAは業種比較や買収時の指標として広く使われる。
Q24. 類似会社比較法(Comparable Company Analysis)の長所として正しいものはどれか?
正解:市場の実勢価格を反映した客観的な評価が得られる
解説:市場の現在の評価を反映し比較的客観的。
類似会社比較法(Comps):上場する類似企業の市場倍率(PER・EV/EBITDAなど)を参照して評価対象企業の価値を算定する。市場価格を直接反映する客観性がある。一方、適切な比較対象企業の選定が難しく、市場全体の過大・過小評価の影響を受ける。
Q25. CAPM(資本資産価格モデル)における期待収益率の計算式はどれか?
正解:リスクフリーレート + β × (市場期待収益率 − リスクフリーレート)
解説:E(R) = Rf + β × (Rm − Rf)。マーケットリスクプレミアムにβを乗じる。
CAPM(Capital Asset Pricing Model):期待収益率E(R) = Rf + β×(Rm−Rf)。Rf:リスクフリーレート(国債利回り等)、β:システマティックリスク(市場感応度)、(Rm−Rf):マーケットリスクプレミアム。株主資本コストの推定に広く使われる。
Q26. PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る株式について、理論的に言えることはどれか?
正解:市場が企業の解散価値(純資産)以下に評価していることを意味する
解説:PBR<1は市場評価<帳簿上の純資産(解散価値割れ)。
PBR(Price to Book Ratio)= 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)。1倍割れは理論上、企業を解散して純資産を分配した方が株価より高くなる状態を意味する。日本市場では長年多くの企業がPBR1倍割れで、東証がその改善を要請(2023年〜)している。
Q27. PER(株価収益率)を使った株価の理論値を求める式はどれか?
正解:EPS × 業界平均PER
解説:理論株価 = EPS × 適正PER。
PER(Price-Earnings Ratio)= 株価 ÷ EPS(1株当たり純利益)。理論株価を求める際は、同業他社や市場平均のPERを適正PERとして、EPS × 適正PERで計算する。PERが高いほど「将来の成長に対して高い評価(プレミアム)が付いている」と解釈できる。
Q28. 残余利益モデル(RIM:Residual Income Model)において「残余利益」とはどれか?
正解:純利益 − (期首自己資本 × 株主資本コスト)
解説:残余利益=純利益から株主資本コスト相当を差し引いた超過収益。
残余利益(RI)= 純利益 − 期首自己資本 × 株主資本コスト。株主が要求する最低収益率を超えて稼いだ「超過利益」を意味する。RIMはDCF法と異なりバランスシートの情報を活用でき、株主資本価値 = 現在の簿価純資産 + 将来残余利益の現在価値合計 で算出される。
Q29. 純資産価値法(NAV法)がM&Aの評価で使われにくい主な理由はどれか?
正解:将来の収益力(のれん・ブランド等の無形価値)を反映しにくいから
解説:簿価純資産は無形資産・将来収益力を捉えられない。
NAV法(Net Asset Value)は帳簿上の純資産(資産-負債)で企業価値を算定するが、ブランド・技術・人材・顧客基盤などの無形資産や将来の収益力が反映されない。そのため継続企業の評価よりも清算価値の算定や不動産会社・持株会社の評価に適している。
Q30. 感応度分析(Sensitivity Analysis)をDCF評価で行う主な目的はどれか?
正解:WACCや成長率の変化が企業価値に与える影響を把握する
解説:主要仮定の変化が評価額にどう影響するかを分析する。
DCF法は将来CFやWACC・成長率などの仮定に大きく依存する。感応度分析ではこれらの変数を変動させた場合の企業価値の変化幅を確認し、評価の不確実性(幅)を把握する。バリュエーションレポートではWACC×成長率の感応度テーブルが一般的に示される。
Q31. PSR(株価売上高倍率)がPERより有用とされる場合はどれか?
正解:赤字企業や利益が極めて少ない成長企業の評価時
解説:赤字でPERが算出不能なスタートアップ等にPSRを使う。
PSR(Price to Sales Ratio)= 時価総額 ÷ 売上高。赤字企業はEPSがマイナスなのでPERが計算できない。PSRは利益の有無に関わらず使えるため、高成長・赤字のスタートアップやテクノロジー企業の評価に広く用いられる。ただし利益率の違いを無視するため単独では判断が難しい。
Q32. M&AにおけるDDR(Discount Rate)の決定で用いるベータ(β)を推定する方法はどれか?
正解:類似上場企業のβをアンレバードに調整して再レバードする
解説:非上場・未上場企業はCompsのβを資本構成調整して使う。
非上場企業のβ推定:類似上場企業の観測βをアンレバード(負債なし)β = β / (1 + (1−T)×D/E) で資本構成の影響を除去し、次に評価対象企業の資本構成でリレバード β = アンレバードβ × (1 + (1−T)×D/E) する。これをCAPMに代入して株主資本コストを推定する。
Q33. コントロールプレミアム(支配権プレミアム)がM&A価格に上乗せされる理由はどれか?
正解:経営権の取得により戦略変更やシナジーを実現できる価値があるから
解説:支配権には経営改善・シナジー実現の価値が含まれる。
コントロールプレミアム:M&Aで経営支配権(過半数以上の株式)を取得する際に株式市場価格に上乗せされるプレミアム(通常20〜40%)。経営権があれば事業戦略の変更、コスト削減、シナジーの実現が可能になるため、単なる少数株式より高い価値を持つ。
Q34. DDM(配当割引モデル)を使った株式価値評価が最も適している企業タイプはどれか?
正解:安定的に配当を支払う成熟企業や金融機関
解説:安定配当企業に有効。配当がないと適用困難。
DDM(Dividend Discount Model):将来の配当の現在価値合計で株式価値を算定する。安定した配当政策を持つ成熟企業・公益事業・銀行・保険会社に最適。無配や配当が不規則な成長企業にはDCF法(FCFベース)が適している。
Q35. 取引事例比較法(Precedent Transactions)の特徴として正しいものはどれか?
正解:実際のM&A取引価格を参照するためコントロールプレミアムが含まれる
解説:過去M&A価格はプレミアム込みで類似会社Compsより高くなる傾向。
取引事例比較法(Precedent Transactions/Deal Comps):過去の類似M&A取引の買収倍率を参照して評価する。実際の取引価格にはコントロールプレミアムが含まれるため、上場株価ベースのCompsより高い倍率になることが多い。ただし市場環境の変化や取引の特殊性に注意が必要。
Q1. EPS希薄化の要因として最も直接的なのは?
正解:公募増資による発行株式数の増加
解説:株数増加はEPS(1株利益)の分母拡大で希薄化を招きます。
新株発行・ストックオプション行使・転換社債の株式化などが希薄化要因です。
Q2. 社債と最も関連が深いのはどれか?
正解:利息の支払い
解説:社債は利息支払を伴う。
社債は有利子負債であり、利払いが損益に影響します(税引前)。
Q3. 希薄化後EPSの算定で潜在株式として代表的なのは?
正解:ストックオプション
解説:SOは潜在株式の代表例。
新株予約権や転換社債などの潜在株式は希薄化後EPSの算定に考慮します。
Q4. 自己株式取得の一般的な効果は?
正解:EPSの押し上げ要因
解説:発行株式数が減少しEPSが上がりやすい。
1株指標が改善する一方、資本効率やレバレッジに与える影響も併せて評価が必要です。
Q5. 買収におけるPPA(購入価格配分)で生じる無形資産の例は?
正解:顧客関係資産
解説:PPAで識別可能な無形資産を計上。
商標や顧客関係、技術など識別可能な無形資産を認識し、残余がのれんになります。
Q6. 非支配株主持分(NCI)の説明として適切なのは?
正解:連結子会社の少数株主に帰属する持分
解説:連結純資産の一部をNCIとして表示。
親会社に帰属しない持分で、純資産区分に表示されます。
Q7. 転換社債(CB)が希薄化後EPSに与える影響は?
正解:株式へ転換されると株数が増える
解説:転換で分母が増えEPS低下へ。
潜在株式として希薄化要因となり、希薄化後EPS計算で考慮されます。
Q8. 「MM理論(モジリアーニ=ミラー定理)」の完全市場の仮定の下での主張はどれか?
正解:負債と株式の組み合わせ(資本構成)は企業価値に影響しない
解説:税金・取引コストがない完全市場ではレバレッジは企業価値に無関係です。
1958年のMM第一命題:完全市場(税なし・倒産コストなし・情報対称)では負債比率が企業価値に影響しない(資本構成無関連性)。1963年の修正版では法人税の節税効果を加えると負債が多いほど価値が高まります。現実は倒産コスト・エージェンシーコストとのトレードオフが最適資本構成を生みます。
Q9. 「トレードオフ理論」における最適資本構成はどのように決まるか?
正解:負債の節税効果と財務的苦境コスト(倒産コスト等)がトレードオフする点で企業価値が最大化される
解説:節税メリットと倒産・財務的苦境コストが均衡する点が最適レバレッジです。
Q10. 「ペッキング・オーダー理論」が示す企業の資金調達優先順位として正しいものはどれか?
正解:内部留保→負債→株式発行の順に優先する
解説:情報の非対称性により内部資金が最優先、次に負債、株式発行は最後の手段です。
マイヤーズ&マジラフが提唱。外部投資家は経営者より情報が少ない(情報の非対称性)ため、株式発行はシグナルとして割安発行とみなされ株価が下落します。これを嫌い企業は①内部留保(コスト最小)②借入③株式発行(情報コスト最大)の順を好みます。固定した最適資本構成は存在しません。
Q11. 「EPS(1株当たり利益)の希薄化」が起きる状況として正しいものはどれか?
正解:新株発行・転換社債の株式転換・ストックオプション行使等で発行済み株式数が増加する場合
解説:株式数が増えると1株あたりの利益が薄まる(希薄化)現象です。
Q12. 「LBOBUY-OUT(レバレッジド・バイアウト)」の特徴はどれか?
正解:買収対象企業の資産・キャッシュフローを担保に多額の借入を活用して買収する手法
解説:対象企業のCFを担保に借入主体で買収し、少ない自己資本で大型買収を実現します。
Q13. MM定理(モジリアーニ=ミラー定理)の完全市場の仮定下での結論はどれか?
正解:資本構成は企業価値に影響しない
解説:完全市場ではレバレッジは企業価値に無関係。
MM定理第一命題:完全資本市場(税なし・倒産コストなし・情報対称)では、資本構成(負債比率)が変わっても企業の総価値は変わらない。これは裁定取引によって均衡が維持されることから導かれる。
Q14. 法人税が存在するMM定理において、負債の節税効果(タックスシールド)はどのように計算されるか?
正解:負債額 × 法人税率
解説:節税効果 = 負債額 × 法人税率(永久債の場合)。
法人税が存在する場合、利息は損金算入されるため節税効果が生まれる。永久的な負債のタックスシールドの現在価値はD×T(D:負債、T:法人税率)。これにより有税世界では負債調達が企業価値を高める。
Q15. ペッキングオーダー理論が示す企業の資金調達の優先順位として正しいものはどれか?
正解:内部留保→負債→株式発行
解説:情報の非対称性から内部資金を最優先する。
マイヤーズ=マジュルフのペッキングオーダー理論:経営者と投資家の情報格差により、株式発行は過小評価を招くリスクが最も高い。そのため企業は①内部留保→②負債→③株式発行の順に資金調達を選好する。
Q16. トレードオフ理論が示す最適資本構成はどれか?
正解:タックスシールドの便益と財務的困難コストが均衡する点
解説:節税便益と倒産コストのトレードオフで最適点が決まる。
トレードオフ理論:負債増加でタックスシールドが増える一方、財務的困難コスト(倒産コスト・エージェンシーコスト)も増加する。両者の限界便益=限界コストとなる点が最適負債比率。
Q17. 財務レバレッジ(Financial Leverage)が高まると株主にとって何が起きるか?
正解:期待収益率と財務リスクの両方が高まる
解説:借入拡大で収益の振れ幅が大きくなる。
財務レバレッジが高いほど、固定の利息支払義務があるため売上変動が利益に与える影響は増幅される。好業績時には株主リターンが大きく増加するが、不振時には損失も拡大する(ハイリスク・ハイリターン)。
Q18. WACC(加重平均資本コスト)の計算式における「負債コスト」に乗じる係数はどれか?
正解:(1 - 法人税率)
解説:利息の節税効果を反映して(1−T)を乗じる。
WACC = E/(D+E)×Re + D/(D+E)×Rd×(1−T)。利息は損金算入されるため、実効的な負債コストは税引前利率×(1−税率)となる。この税引後コストを使うことで節税効果を資本コストに反映させる。
Q19. エクイティファイナンスとデットファイナンスを比較した場合の株式発行の特徴はどれか?
正解:返済義務がなく財務リスクは低いが、株主への利益還元・希薄化リスクがある
解説:株式発行は返済不要だが既存株主の希薄化を招く。
株式発行(エクイティファイナンス):返済義務がなく倒産リスクを高めない一方、配当要求や1株当たり利益の希薄化(dilution)が生じる。一般にエクイティコストはデットコストより高い。
Q20. 自社株買い(Stock Buyback)が株主価値に与える主な効果はどれか?
正解:1株当たり利益(EPS)の向上と株価の支持
解説:流通株数減少でEPSが改善し株価を支持する。
自社株買いにより発行済株式数が減少し、同じ純利益でも1株当たり利益(EPS)が向上する。また株価の需給支持、余剰資金の効率的活用、配当との比較での税効率の良さなどが株主に還元される。
Q21. デット・エクイティ・スワップ(DES)とはどのような手法か?
正解:負債を株式に転換して財務改善する手法
解説:DES:負債→株式転換で財務健全化を図る。
DES(Debt-Equity Swap):債権者が保有する負債を株式に転換する財務再構築手法。過剰債務企業の財務改善や企業再生で使われる。負債が減り自己資本が増えることで財務レバレッジが低下し、格付けや信用力が改善する。
Q22. シグナリング理論において、企業が増配(配当増加)を行う意味はどれか?
正解:経営者が将来の業績に自信があることを市場に示す
解説:増配は将来の安定収益への自信のシグナル。
情報の非対称性のもとで、経営者は内部情報を持つ。増配は「将来も十分なキャッシュフローが見込める」という自信のシグナルとして機能し、市場はこれをポジティブに評価する。逆に減配は業績悪化のシグナルと受け取られやすい。
Q23. LBO(レバレッジド・バイアウト)の特徴として正しいものはどれか?
正解:買収対象の資産・キャッシュフローを担保に多額の借入で買収する
解説:LBOは被買収企業の資産・CFを担保とした借入買収。
LBO(Leveraged Buyout):PEファンドなどが自己資金を最小化し、買収対象の資産やキャッシュフローを担保として大規模な借入を行う買収手法。買収後に収益改善・コスト削減でCFを高め、負債を返済してエクイティリターンを最大化する。
Q24. フリーキャッシュフロー(FCF)が資本構成の選択に与える影響として、エージェンシー理論が指摘する問題はどれか?
正解:経営者がFCFを非効率な投資に使う可能性がある
解説:余剰FCFが経営者の裁量投資(過剰投資)を招く。
ジェンセンのフリーキャッシュフロー仮説:FCFが多い企業では、経営者(エージェント)が株主(プリンシパル)の利益より自分の利益のために非効率な投資(帝国建設)を行うリスクがある。負債はFCFを利息返済に充て、このエージェンシー問題を緩和する規律機能を持つ。
Q25. 有利子負債比率(D/E比率)が1.5倍の企業の財務レバレッジ効果として正しい記述はどれか?
正解:自己資本の1.5倍の負債を活用して収益を拡大している
解説:D/E=1.5は株式の1.5倍の負債を使っていることを示す。
D/E比率(負債資本比率)= 有利子負債 ÷ 自己資本。1.5倍は自己資本1に対して1.5の負債を使っていることを意味する。業績好調時はROEが高まる一方、業績悪化時や金利上昇時の財務リスクも高い。
Q26. 社債(Corporate Bond)と株式の違いとして正しいものはどれか?
正解:社債は定期的な利息支払いと満期返済義務があるが、議決権を与えない
解説:社債は返済義務あり・議決権なし。株式は逆。
社債は負債性証券で、クーポン(利息)の定期支払いと満期での元本返済義務がある。倒産時は株式より優先的に弁済を受ける。議決権はなく、業績に関わらず固定利息を受け取る(変動金利型を除く)。
Q27. 資本コスト(WACC)を用いた投資判断の基準はどれか?
正解:投資のIRRがWACCを上回る場合に投資を実行する
解説:IRR > WACC なら価値創造する投資と判断する。
WACCは企業の資本調達コストの加重平均であり、投資案件のハードルレート(最低必要収益率)として使われる。IRR(内部収益率)がWACCを超えれば企業価値を増加させる投資、下回れば価値を毀損する。
Q1. 減損会計の発生トリガーとして最も適切なのは?
正解:市況や事業の悪化により資産の回収可能価額が簿価を下回る兆候
解説:回収可能価額<帳簿価額が見込まれると減損を検討します。
使用価値や正味売却価額の低下など、将来キャッシュフローに基づく回収可能価額で評価します。
Q2. IFRSにおける収益認識の基礎となる考え方は?
正解:発生主義と履行義務の充足
解説:履行義務の充足に応じて収益を認識します。
顧客との契約を識別し、履行義務の充足時点または期間にわたり収益を認識します(IFRS 15)。
Q3. のれん(Goodwill)の会計処理としてIFRSで原則となるのは?
正解:償却せず減損テスト
解説:IFRSではのれんは償却せず、毎期減損テストが必要です。
買収により取得原価が純資産公正価値を超える部分がのれんで、価値が減少した場合は減損を認識します。
Q4. 税効果会計で『繰延税金資産』が計上される典型例は?
正解:将来減算一時差異の存在
解説:将来の課税所得から控除される見込があると繰延税金資産を計上します。
減価償却の差異、貸倒引当金の損金算入差など一時差異により将来の税負担が軽減される場合です。
Q5. 為替換算調整勘定(OCIに計上)が発生するのはどのようなケースか?
正解:連結における海外子会社の財務諸表換算
解説:連結で海外子会社の財務諸表を親会社通貨に換算する際にOCIで調整します。
換算差額はP/LではなくOCI(その他の包括利益)に計上され、累積換算調整勘定として純資産に表示されます。
Q6. 在庫評価方法としてIFRSで認められていないのは?
正解:後入先出法(LIFO)
解説:IFRSはLIFOを禁止。
IFRSでは後入先出法は不可。先入先出法や加重平均法などは認められています。
Q7. 先物為替予約で輸入代金の為替リスクを抑える基本は?
正解:買いヘッジ(外貨を買う予約)
解説:将来外貨支払いなら外貨買い予約。
支払時に外貨が必要となるため、先物で外貨を確保して為替変動を固定化します。
Q8. IFRS 15の収益認識で『期間にわたり認識』の例は?
正解:保守サービス提供
解説:サービス提供は時間経過で履行。
履行義務の充足が時間の経過により行われる場合は期間認識となります。
Q9. 引当金計上の要件に当てはまるのはどれか?
正解:現在義務の存在と合理的見積り
解説:現在義務と見積可能性が必要。
過去事象に起因する現在義務があり、資金流出の可能性が高く、合理的に見積れる場合に計上します。
Q10. 減損テストの単位としてIFRSで用いるのは?
正解:キャッシュ・ジェネレーティング・ユニット(CGU)
解説:将来CFを生み出す最小単位CGU。
独立したキャッシュ・インフローを生む最小のグループ単位で減損の判断を行います。
Q11. セグメント情報の主な目的は?
正解:事業別の業績とリスクの開示
解説:経営者目線の事業別開示。
意思決定に用いられる内部管理の区分に沿って、業績・資産などの情報を開示します。
Q12. IFRS 16の導入で借手側に起こる主な会計変化は?
正解:使用権資産とリース負債の計上
解説:借手は原則オンバランス化。
ほとんどのリースを使用権資産とリース負債として認識し、費用配分は減価償却+利息に変わります。
Q13. 在庫の評価損を認識する際の基準は?
正解:正味実現可能価額の下落
解説:正味実現可能価額が重要。
見積販売価格から販売費用等を控除した正味実現可能価額が簿価を下回る場合に評価損を認識します。
Q14. ヘッジ会計の目的に合致するのは?
正解:損益の時期対応を図る
解説:ヘッジ対象と手段の損益を同期。
経済的ヘッジの効果を会計上の損益認識のタイミングに反映させることを目的とします。
Q15. 有形固定資産の再評価モデル(IFRS)の特徴は?
正解:公正価値へ定期的に見直し可能
解説:再評価差額はOCIに計上。
IFRSでは特定資産で再評価モデルを選択でき、差額はOCI経由で純資産に計上されます。
Q16. ヘッジ有効性の判定で一般的に求められることは?
正解:相関や効果の高い関係が継続していること
解説:ヘッジ対象と手段の関係が有効である必要。
会計上、ヘッジ指定と文書化、有効性の評価(前向き・事後的)が求められます。
Q17. IFRS 9の金融資産区分に含まれるのは?
正解:償却原価測定
解説:償却原価やFVOCI/FVTPL等に分類。
ビジネスモデルとキャッシュフロ―特性により、償却原価・FVOCI・FVTPLなどに区分します。
Q18. OCI(その他の包括利益)に計上されやすいのは?
正解:為替換算調整
解説:為替換算差額はOCIで累積。
連結の海外子会社換算差額や再評価差額など、純利益ではなくOCIを経由します。
Q19. のれんの減損テストは原則どの単位で行う?
正解:CGUまたはCGUグループ
解説:のれんは関連CGU単位でテスト。
のれんは独立CFを生まず、帰属するCGU(グループ)で回収可能価額を判定します。
Q20. ハイパーインフレ会計の目的に近いのは?
正解:一般物価指数で財務諸表を修正
解説:一般物価指数で測定の歪みを補正。
極端なインフレ環境で、貨幣単位の購買力変動を反映するための会計処理が求められます。
Q21. 公正価値の階層でレベル3の特徴は?
正解:観察不能な入力に基づく評価
解説:レベル3はモデルや仮定が多い。
観察可能な市場データが乏しいため、重要な見積りや仮定が評価に用いられます。
Q22. 株式報酬(IFRS 2)の費用計上で基本となるのは?
正解:付与日に公正価値を測定し権利確定期間で配分
解説:付与日FVを権利確定期間で費用配分。
株式決済・現金決済ともに測定と認識の要件が規定されています。
Q23. 確定給付年金の数理差異はIFRSで通常どこへ?
正解:OCIへ計上し累積
解説:年金の数理差異はOCI計上。
再測定差額はOCIに計上され、P/Lには再分類されないのが原則です。
Q24. IFRS 16導入が主要財務指標に与える影響として典型的なのは?
正解:EBITDAの増加傾向
解説:賃料費用が減価+利息に置換されるためEBITDAが上がりやすい。
賃料費用(営業費用)が減価償却+利息へ置換され、EBITDAは増加し、総資産や有利子負債も増加します。
Q25. IFRS15「顧客との契約から生じる収益」における収益認識の5ステップで正しい順序はどれか?
正解:①契約識別→②履行義務識別→③取引価格決定→④配分→⑤収益認識
解説:IFRS15の5ステップ:契約識別→履行義務識別→取引価格決定→配分→収益認識の順です。
IFRS15(日本では収益認識基準として2021年強制適用)の5ステップ:Step1顧客との契約を識別する→Step2契約の中の履行義務を識別する→Step3取引価格を算定する→Step4取引価格を履行義務に配分する→Step5履行義務の充足に応じて収益を認識する。
Q26. IFRS16「リース」の主な変更点はどれか?
正解:借り手はほぼ全てのリースを資産・負債としてBSに計上することが求められた
解説:従来オフバランスだったオペレーティングリースも原則BSに計上が必要になりました。
Q27. 「公正価値測定(Fair Value Measurement)」において最も信頼性が高い測定方法はどれか?
正解:活発な市場での観察可能な市場価格(レベル1)
解説:レベル1(活発市場の相場価格)が最も信頼性高く、レベル3(主観的仮定)が最も低いです。
Q28. IFRS第16号「リース」が導入されたことで財務諸表に生じる主な変化はどれか?
正解:オペレーティングリースも使用権資産と負債として貸借対照表に計上される
解説:IFRS16:オペリースをBSに資産・負債計上(使用権資産)。
IFRS第16号(2019年〜):従来はオペレーティングリースをオフバランスで費用処理していたが、新基準では原則すべてのリースを使用権資産(Right-of-Use Asset)と相対するリース負債としてBS計上。EBITDAが改善し負債が増加する影響がある。
Q29. IFRS第9号「金融商品」における期待信用損失(ECL)モデルの特徴はどれか?
正解:損失が発生する前の段階から将来の期待損失を引当計上する
解説:ECLモデルは将来予測に基づく先行的な信用損失の引当。
IFRS第9号のECL(Expected Credit Loss)モデル:旧基準(IAS39)の発生損失モデルと異なり、信用リスクの増加に応じて将来予測に基づく期待信用損失を早期に引当計上する。Stage1(信用リスク低)→Stage2(著増)→Stage3(信用毀損)の3段階で引当額を決定。
Q30. IFRSと日本基準の「のれん」の会計処理の相違点はどれか?
正解:IFRSでは非償却で毎期減損テスト、日本基準では20年以内で規則的に償却
解説:IFRS:のれん非償却+減損テスト。日本基準:20年以内償却。
のれんの会計処理:IFRS(IFRS3号)ではのれんを非償却とし毎期(または減損兆候時)に減損テスト(CGU単位)を実施。日本基準(JGAAP)では原則20年以内に規則的に償却。このため日本基準採用企業は定期償却費用が発生しIFRS企業より利益が低く見える可能性がある。
Q31. IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の収益認識の5ステップの最初のステップはどれか?
正解:顧客との契約を識別する
解説:IFRS15の5ステップ:①契約識別→②履行義務→③取引価格→④配分→⑤収益認識。
IFRS第15号の5ステップモデル:①顧客との契約を識別する、②契約における履行義務を識別する、③取引価格を算定する、④取引価格を各履行義務に配分する、⑤各履行義務の充足時(または充足するにつれて)収益を認識する。
Q32. IFRSにおける「公正価値(Fair Value)」の定義として正しいものはどれか?
正解:測定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われた場合に資産売却・負債移転で受け取る/支払う価格
解説:公正価値=市場参加者視点の出口価格(Exit Price)。
IFRS第13号「公正価値測定」による定義:公正価値とは「測定日において市場参加者間の秩序ある取引において、資産を売却するために受け取るであろう価格または負債を移転するために支払うであろう価格(出口価格)」。3段階の公正価値ヒエラルキー(Level1〜3)で測定の信頼性を示す。